現在、耳鼻咽喉科をみても、時代に即する診療体制の確立がいわれており、そのなかで単科病院も時代の変化、高齢化社会に伴う疾病構造の変化に対する対応を迫られてきています。
今後は、特色ある専門医療機関として、ますます整備・拡充を図り、将来へ向けての展望を開かねばならないと考えています。我々医療徒事者が忘れてはならないことは、国民の合意を得られる医療をいかに展開するかです。医療費の面から老人医療をとりあげても、それが自然に増加することは自明の理ではありますが、医療従事者も医療の質を下げないで医療費を逓減する方法を見つけていくことが、ひいては自分自身に正しく帰ってくる道ではないかと考えています。
わが科領域の老人医療は、今やっとその学術的集大成的な検討が行なわれようとしている段階と考えます。私見ではありますが、小児科医療は小児科学の進歩とともに発展したといわれますが、老人医療は老人独特の体特性、また代謝に合わせた治療法、検査値の正常値(老人の場合の)の問題、特に薬剤治療の面の発達が待たれるところであります。
日本人の平均寿命は世界に比類なく伸びたといわれています。
今後、われわれが目指すものは、生き生きと社会の役割の分担をしながら、社会活動に参加していける老人を作り出す努力をしなければいけないと考えます。
院長 前田太郎
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